冒険者ルーク 167
——巨猿がふらついている。
おそらく、瀕死状態であると思われる。
ダンジョン内のモンスターを吸収して、無限再生を繰り返すので、厄介過ぎる敵だった。
ダメージが蓄積しないので、正直どうしたものかと思ったが、物事には終わりがあるもの。
無限に続くかと思われた再生地獄も、ダンジョン内のモンスターをすべて掃討したら終わるだろうと思っていた。
案の定、エンキドゥの再生スピードは最初に比べ、かなり遅くなっている。
畳み掛けるなら、今!
俺は連続で縮地を発動し、エンキドゥの眼前に躍り出る。
魔力の刃を放つ、飛燕斬。
そこへ、連撃を加えた阿修羅が如き八つの剣閃。
それが——
「阿修羅——飛燕八閃!」
俺の超高速の連撃が、巨猿へと牙を剥く。
——右上腕と左下腕の手首を斬り飛ばし、その勢いで左上腕と右下腕の手首をさらに斬り飛ばし、間髪入れず右中腕と左中腕の手首をも斬り飛ばす!
さらに、巨猿の首元と心臓へ放つ剣撃。
魔力刃の余波を受け、エンキドゥの身体がブロックの肉塊へと変わる。
闘神・阿修羅の斬撃だ。
一介のモンスターに使用するのはオーバーキルだが、こいつのように再生能力のある敵にはお誂え向きだろう。
鮮血が飛びまくるが、俺は風の魔法で吹き飛ばしているので問題ない。
残されたのは、悪魔ベルベル。
彼女はミントグリーンのツインテールの髪をした、ゴスロリの姿だ。
かなり、憔悴しきっている。
倒すのに、少し罪悪感を感じないでもないが放っておくことも出来まい。
『なら、封印したら良いんだよ?』
封印——その手があったか。
うむうむ、リジル——良い娘や。
リジルの中に悪魔ベルベルを封印する。
彼女を封印することで、ダンジョンコアを回収しなくても良くなったから、この場所は初心者の迷宮として機能することになるだろう。
後は、リジルと話し合いだな。
柄にもなく、緊張して来た。




