冒険者ルーク 165
俺は、ふとおかしなことに気づいた。
ここには、俺とナイアーラトテップしかいない。
エンキドゥやベルベルには、会話を聴かれる心配はないと思うのだが。
念話で話す必要性を感じない。
あるいは、他の邪神の能力で俺たちの会話を聴き取れるとかか?
『——君が使う魔剣リジルは、邪神ガタノソアが擬態したものだ』
ニャンですと!
マジか!?
そりゃあ、闇属性と親和性が深いなとは思ったが、まさかの邪神側のスパイとはな。
なるほど、それで念話か。
だが、疑念が残る。
リジルは、この世界の創造神であるアイテールが用意してくれた武器だ。
ということは、奴の正体は——
『そう、アイテールは魔王アザトースに存在を喰われ、乗っ取られてしまったのさ』
這い寄る混沌は、俺の考えを先読みして言葉を紡いだ。
『だが、リジルは武器として何度も俺を助けてくれたぞ!?』
『それはそうさ。惑星が直列する日に、君を殺さなければ、私たちに強大な力が宿ることはないからね。君を殺さないのは、儀式の日まで、まだ間があるからに過ぎない』
リジルが邪神ガタノソアだと!?
ううむ、ガタノソアの情報がまったくない。
這い寄る混沌殿は、詳しくリジルのことを知っているだろうか?




