冒険者ルーク 154
「惑星が直列する日、サダルメリクを生け贄に捧げれば、邪神の群勢が力を増す」
アイテールは、閉鎖空間の中でつぶやいた。
この世界に渡って来た時、魔王アザトースは虚無と暗黒で作られた不定形なスライムのような存在だった。
が、この世界の創造神アイテールの存在を喰らってからは彼の姿がお気に入りだ。
アイテールが召喚したシュレディンガーの黒猫、ルー・フーリンには潜在的に邪神の能力を高める呪力を有していた。
地球侵攻に失敗したアザトースは、身体や記憶や様々なものを神々によって封印された。
第二の地球、エステルギアは分かたれた星である。
かつて、レムリアルフォスという惑星があった。
そこは科学と魔法が混在した数々の超古代文明が共存した惑星であった。
レムリア、アトランティス、ムーと言った今は不確かな伝承と化した文明は、邪神らの時空を超えた侵攻によって滅ぼされた。
度重なる次元侵攻は時空を歪曲させ、地球は二つに分かれた。
さすがの神々も、時間と空間に干渉することは出来ず、二つの地球は別々の方向へとシフトした。
即ち、科学を取り戻そうとする星と、魔法を極めようとする星の二つである。
時空管理官クロノスとアイテールは、こうして分裂した惑星を監視するスターゲイザーとなったのであった。




