冒険者ルーク 151
アスラエイプが激昂し、ドラミングする。
すると、修羅猿の全身の外皮がエメラルドグリーンに染まった。
ニャンだと!?
間違いない。
硬質化だ。
何が原因か分からないが奴の体毛、あるいは肌は金属の質感を持ったものとなった。
進化とは、また違うもののように感じられる。
ふと、アスラエイプの頭上にミントグリーンでツインテールの髪をした、ゴスロリの少女が宙に浮かんでいた。
おそらくは、ダンジョンの管理者たる悪魔ベルベルと思われる。
「なかなかやるわね、アンタ。このベルベル様のダンジョンで、ここまで来れたのはアンタが初めてよ」
そうだろうな。
初心者向けダンジョンの推奨階層は二十階まで。
後は、大量のオーガたちに物量で負けるから、冒険者には割が合わない。
さらに、このダンジョンをクリアしてしまえば新人の探索者が育たなくなる。
クリアしてもダンジョンコアを回収しなければ、迷宮は再活動するらしいが試したことはないので真相は謎のままだ。
「お褒めに預かり、光栄だ。ダンジョンの管理者、大悪魔ベルベル殿とお見受けするが、合っているか?」
女性型の悪魔は珍しいな。
我が師、マナナン・マクリールによれば、魔界にはブロケル、ゴモリー、アスタロトの女性型の悪魔が居るらしい。が、アスタロトは女性であり男性でもあるアンドロギュヌス——つまり、半陰陽らしかった。
なるほど、魔界の大公は両性類ということだな。だが、彼女は蛇の特徴を有しているらしいから爬虫類なのか!?
分からん。
あくまで悪魔なのだろう。
何てな。




