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妖気の波動 2

 

 妖気の波動は、さらにティル・ナ・ノーグ西方にも拡散していた。



 バラーの館と呼ばれる屋敷に、その巨体は横たえられていた。かろうじて呼吸はしているものの、時折り四肢がぴくりと動くだけで、反応はあまりない。体長五メートルはあろう巨漢だ。その巨人は左眼に特殊な眼帯をしている。

 その大男を見守る二人の人物がいた。

 一人は白銀の鎧に、左腕だけが緑のガントレットをはめた騎士で、壁に寄りかかり腕組みをしている。

 もう一人は、妖艶な美女だが、禍々しさを感じさせる雰囲気を有していた。


「ええい、人間界に行ったバック・ベアが一向に戻らぬではないかっ! これでは、バロールの復活が遅れるではないかっ!」


 不機嫌そうに女が言った。

 それを受けて、腕組みした騎士が口を挟む。


「死と暗黒を司る魔女よ。どうやら、バック・ベアは何者かに殺られたようだ」


「なぜ、それがわかるっ!?」


「我が左腕には、バック・ベアの再生細胞が使われているゆえ、感じ取ることができるまでのこと」


「誰じゃ! このモリガンの邪魔をする奴はっ!」


「おそらく、この妖気はクー・フーリン――いや、違うな。息子のものだ」


「息子とは、あのケット・シーであろう? なぜ、奴がバック・ベアを!? そもそも、わらわが創った人造妖精如きが、なぜ、邪魔をする? 眷族のくせに裏切るのか!?」


 モリガンの創った人造妖精ケット・シーは、すべてが彼女の支配下にあるはずである。

 これでは、魔女の創造物が独り歩きしているようなものだ。

 おかしい?

 確かに、クー・フーリンの息子が生まれた時に、暗殺させるために黒猫のルネを派遣した。が、あれは失敗し、ルネ自身は死んだはずだ。生きているのなら、モリガンの魔力に反応があって然るべきである。

 ふいに出現した謎に、魔女モリガンは歯噛みしアンデッドの騎士を睨みつける。


「どういうことじゃ!」


「我々の預かり知らぬイレギュラーな事態が起こっていると見て、間違いないだろう」


「もしくは、ルネの身体に赤子の魂を宿したのか!? いや、待てよ。その必要性がないな――」


「モリガン殿、お気にめさるな。何なら、このデュランダルめが、あの親子の首を持ってこようぞ」


「さすがはデュラハン一の騎士、デュランダル――頼もしいな。ん!?」


 横たわるバロール――その傍らに紫色の短い髪の少女がひざまずいている。虚ろな眼は曇ったアメジストを連想させる。額には少女の眼と同じ色のアメジストがはまっている。大悪魔マモンによって、絶滅したはずの有石人――カーバンクルの姿が、そこにあった。


 魔女はカッとなり、ワタリガラスの姿に変貌し、火炎の吐息をカーバンクルの少女目がけ、吐いた。

 瞬時に、掻き消える少女。


「あやつには、何もできまい。放っておくがよろしかろう」


「わかっておる。目障りなだけじゃ!」


「あやつもまた、バロール様の一部。下手な真似は己れの首をしめますぞ。とにかく、クー・フーリンの息子にも気をつけられよ」


「わかっておるわ!」





すいません。後で書き足します。


仕事がハードで、更新遅れてます。


申し訳m(_ _)m

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