冒険者ルーク 145
さて、どんな風にお仕置きしてやるかな。
とりあえず、逃がさない方向で行くか。
俺は肉球の上で、ピンポン球サイズの水球を作り上げる。
その球をロスアルザに向け、放つ。
今度は、魔法をキャンセルせず、ロリババアにフレイムスピアを撃たせる。
火槍と水球がぶつかり合い、俺の水魔法が一瞬にして形状を変え、虎の姿となり、彼女を捕食する。
俺は水球に一つの仕掛けを施した。
マジックドレインだ。
これは対象の攻撃魔法を捕食し、新たな魔法発動を可能とする。
便宜上、水虎と呼ぼう。
人間界の日本では、水虎は河童の別名であるが、俺の中では捕食者の姿をした水魔法だ。
水虎はさらに形状を変え、ロスアルザを捕らえる水球の監獄となった。
さしずめ、アクア・プリズンかジェイルと言ったところか。
数秒後、全長十メートルほどの水の球体が大広間の真ん中に鎮座していた。
ロスアルザはとっさに、風魔法で穴を穿とうとするが魔法が反射され、容易には手を出せないことを思い知らされた。
老害に反省を求めても、どこまで改心するか分からないが俺に手を出したら、相応の報いを受けるということだけは学習してもらおう。
さらに俺は天候操作の魔法を行使する。
これは、魔法上級者でもコントロールが困難な魔法の一つである。なぜなら、俺が呼び寄せたのは雷雲。俺の支配下から外れると即座に、人間界のアニメの汎用人型決戦兵器みたいに暴走してしまうからだ。
そう、俺は大広間内に簡易的な雷雲を召喚した。
管理が面倒くさいので、とっとと雷魔法をぶっ放してしまおう。
顔を青くしたロスアルザが首を振る。
心配せずとも、お灸を据えるだけだ、多分?
俺は無慈悲な雷帝と化し、水の監獄へ稲妻を放った。
「雷撃魔法、ヴァジュラ!」
某ハンティングアクションゲームの荒ぶれる神の名を冠した一撃が、変化の魔女ロスアルザへと炸裂する。
これで、猫の使う魔法も侮れないと周知出来ただろう。
まぁ、ケット・シーの使う魔法が特別ではなくて、俺という特異点が行使する魔法が災害レベルなのだがな。…




