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冒険者ルーク 130
十階層のボス部屋——
オークキングと当たりをつける。
多くは語るまい。オークだけに。
体長は、ざっと六メートル。
武器はバトルアックス。
ここに辿り着くまでに、無数のオークを狩って来た。ゴブリンには負けるが、繁殖力はかなり高い。
頭部は豚で、身体は人間。
冒険者の中では、オークをソロで倒して一人前という風潮があるようだ。
目の前のキングオークは黒の部分鎧をつけ、戦斧をブンブン振り回し、俺を威嚇するが侮っているように見える。
多分、ラッキーでボス部屋まで辿り着いたのだとでも思っているのだろう。
すると、オークキングは戦斧を地面に突き立て、俺を挑発して来た。
ほう、この俺を倒すのに武器を使うまでもないと。
舐めやがって——
ふと、俺は面白いことを思いついた。
今回はロンはお休みだ。
たまには、拳を使って鉄拳制裁というのも乙なものだろう。確か人間界にそういう格闘ゲームがあったな。
豹のマスクを被った、ネクタイの男が妙に印象的だった。
まさか、こんな場所でファイトなクラブを実演する羽目になるとは。
とりあえず、豚をぶっ叩く!…




