冒険者ルーク 127
ううむ、効率が悪い。
俺たちは、一階層に足を踏み入れていた。
今日の俺は、ハイエルフの姿だ。
ダークグリーンの部分鎧に、魔獣の皮のブーツ。
手には、白銀色の神槍ロンゴミアント。
父上の二つ名、黒狼の槍士に近い出で立ちだ。ダークグリーンも、黒に見えないこともない。
この姿になって、初めて槍と一体になれた気がした。ケット・シーの身体では、槍の取り回しの難易度がかなり跳ね上がる。
ゆえに、小さな槍でしか、訓練したことはない。
浮気者と言われようが、やはり俺にはフラガラッハのような剣で戦うスタイルがしっくりくる。
師匠の一人である、ヌアザは大剣を好んで使う。
まぁ、筋力オバケの彼にしか扱えない得物なのだろうな。ヌアザ様によれば、大剣の驚異的な破壊力を味わってしまえば、そこから抜け出すことは難しいそうだ。
お、一句浮かんだ。
『大剣を 体験したら 抜け出せず』
何てな。
そうそう、先ほどゴブリンを五匹狩ったのだが、討伐証明部位や魔石を確保するのに超効率が悪いことに気がついたのだ。
そこで、俺は死体を感知して亜空間ストレージに入れる魔法を作ってみた。これで好きな時に、解体が出来る。
まぁ、やりたくはないがな。
待てよ、ひらめいた!
この作業を、他の冒険者にいくらか握らせてやってもらったら、どうだろう。
あるいは、孤児たちを雇ってアルバイトさせたら良い。
やはり、俺って天才。
決して、天の災いと書いて、天災ではない。
ジーニアス的な奴だ。
もちろん、英語の辞書的な奴でもない。
これで、狩りに専念出来る。
ヒャッハー、流血のカーニバルの幕開けだ!
何か、変なテンションになって来たな。
人間界のアニメで、銀河美少年という称号の少年が言ってたな。
「さぁ、上げてこうかっ!」




