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冒険者ルーク 123
俺は連撃で、漆黒の槍と斬り合う。
すると、槍から暗黒物質めいたヘドロのような固まりがこそぎ落ちる。
これは、槍が邪悪な気にまとわりつかれたものか!?
どんどん、槍身から暗黒物質が削り取られ、中からは古代の魔法文字ルーンを施された本体が姿を現した。
やはり、魔槍化か。
父上の槍、ゲイ・ボルグも魔槍なのだが暴走はしていない。
暴走や狂化に走るのは、主を失くした——
……思い出した!
まさか、こんなところまで、俺を探しに来るとは——
俺の前世、アーサー王の聖剣エクスカリバーと対なす神槍、それは——
神なる槍、ロンゴミアント。
夢では、白銀色のアリだった、俺の愛槍。
まさか、異世界に渡ってまで、俺を探しに来るとは——
「ロン! すまなかった——長い間、孤独にさせた。悪かった。許してくれ」
俺はロンに謝罪した。
これでダメなら、ジャパニーズ土下座を敢行するしかない。
だけど、ようやくロンは孤独から抜け出せたのかも知れない。
転生した後も、俺を慕ってくるとはな。
久々に、心が暖かくなった。




