冒険者ルーク 121
白銀鎧は、アリーウスと名乗った。聴き覚えはない。偽名かも知れない。
一軒家の前は、ちょうど空き地となっており、戦うのに充分なスペースが確保されていた。
今、猛烈にコーヒーが飲み隊の隊長の気分だ。猫にコーヒーは、どうなのかという話だが、俺はケット・シーなので心配ない。問題ない。メイビー!?
とりあえず、ちゃっちゃと戦って二度寝しよう。
あまり、恨まれるようなことはしてないはずだがな。悪魔関連以外では。
俺は軽装とリジルで、謎の槍使いと対峙した。
「お手並み拝見」
お互いに間合いを測る。
白銀鎧は一歩踏み込むと、俺の喉目掛け、三連突きを放つ。
俺は首を傾げ、突きを回避。
そこへ槍の切っ先が横薙ぎに振るわれ、俺はとんぼを切って、さらに避ける。
鎧男は深追いせずに、槍を手元に戻す。
なるほど、こいつはかなり槍を熟知しているようだ。長物は普通、取り回しが悪い。
攻撃範囲は、かなり広いが懐に入られたら、そのリーチが命取りになる。
ゆえに、槍と併用して体術を取り入れれば、かなり有利に戦場を立ち回ることが出来るだろう。
もちろん、敬愛する父上は槍も体術も修めている。
俺と同じく、オールラウンダーなのだ。
さすがは、父上。
父上・ザ・ブリリアント。
——確かに、白銀鎧は強い。
が、俺の敵ではない。
何せ、俺は父上を始めとする師匠陣に英才教育を受けているからな。
さて、そろそろ鎧野郎の正体を暴くとするか。
俺は縮地で、白銀鎧の眼前に躍り出る。
縮地は数メートルの距離を一瞬で詰めることが出来る体術の一つだ。
——俺は勢いそのまま、鎧男の兜を斬り上げ、奴の正体を白日の元にさらした。
——何と、奴の正体は首なし騎士のデュラハンであった!




