冒険者ルーク 117
大体、人様に迷惑をかけるドラゴンは、群れからはぐれた個体が多い。
ナワバリ意識も強いし、長寿でもあるので、お気に入りの場所に陣取って支配者ムーブをかましたいのだろう。
俺が知っているドラゴンは数種類だが、実際に討伐した例は数回に満たない。
まず、尊大な奴を相手するのが面倒な修太郎なので、実害や父上からの依頼かない限りは放っておく。
厄介だなと思う筆頭は、炎帝竜と呼ばれるファイヤードレイクだな。魔界の大公アスタロトの騎竜に、クリムゾンという個体が居るらしい。態度が尊大らしいので、トカゲと思われる。性格は関係ないが、厄介なのはその高火力だ。誰も火傷覚悟で、立ち向かいたくはないだろう。
次に、ニーズヘグだな。こいつの厄介な点は、状態異常の宝庫だと言うことだ。麻痺・毒・睡眠などのブレスを吐くので苦手だ。息を止めて戦えば、やれないことはないが超面倒くさい。
最後に、雷帝竜イルルヤンカシュ——ともすれば暴走しやすい、稲妻を支配下に置く魔力操作の達人。雷撃のパラライズ効果で、麻痺って死ぬとかありえない。
特に、雷撃魔法にはトラウマがある。
かつて、魔法の師マナナン・マクリールに、実験台にされた過去がある。
猫にマタタビではなく、稲妻を与えたらどうなるかという、アタオカ案件。
脳みそに何度も電気ショックを与えられる、拷問にも等しい実験——
以来、たまに俺の思考にノイズが走る時がある。
殺意が芽生えるのを通り越して、機会があれば闇に葬ってしまおう。
新たに改良した雷撃魔法ヴァジュラで、かつての師に、神の雷を降すのだ!
フフフ、新たに開発したマッサージ雷撃魔法を体感しませんか、と持ち掛ければ食いつくはずだ。
ケッケッケ、復讐するは我が師にありってね。予讐・復讐はバッチリとね!




