冒険者ルーク 112
「破壊神、降臨!」
俺はラルクたちの住居を、風魔法で破壊していた。経年劣化で、あちこちガタが来て危ないからな。
完膚なきまでに住まいを破壊する俺に、三人兄弟の非難の目が向けられる。
「何すんだよ、兄ちゃん! こんなに壊したら、オイラたち住めなくなっちゃうじゃんか!」
ラルクが抗議してくる。
「大丈夫だ。今から、家を作るからな」
建築魔法は苦手だ。
だから、他者の手を借りよう。
「そんな簡単に、家が出来るわけないだろっ!」
「まぁ、黙って見てろ」
俺は精霊召喚の魔法を使う。
土魔法は、精霊ノームの領分だ。
俺の魔力を対価に、家を建ててもらう。
イェーイ!
何てな。
精霊召喚陣からは、土の精霊のノームが出現した。
ついでに、ドライアド美女軍団も呼び出す。
こちらの世界のノームとは、交渉していないが多分、大丈夫だろう。
ノームは体長一メートルほどのヒゲ面の小人の姿だった。
「土の精霊王ノルド、お呼びにより参上しました」
下級精霊を呼んだつもりが、精霊王を呼び出しちまった。
家作るの、手伝って欲しかっただけなんど、どうしよう。
いささか、過剰戦力な気がしないでもない。
ま、お願いしてみるか。
ドラゴンとグリフォンを和解させるよりは、絶対に容易いはずだ。
はずだ、よな?




