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冒険者ルーク 111
キセキが起きた!
死を待つだけだったアタシに、不思議な黒猫さんがキスしてくれた途端に、熱も息苦しさも嘘のように消えちゃったのだ。
「猫さんが助けてくれたの?」
アタシことシエルは、命の恩人ならぬ恩猫を撫でながら訊いた。
「よせ! くすぐったい」
黒猫さんは身をよじると、アタシから逃げ出した。
そして、アタシとアンナお姉ちゃんとラルクお兄ちゃんの前で、黒い長髪の王子さまに化けたのだった!
「最近の猫って、人間になれるのね!?」
って、天然のアンナお姉ちゃんがつぶやいた。




