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冒険者ルーク 92

 少女は瀕死状態で、私はすぐさま自身の細胞を彼女へと送り込み、治癒を活性化した。

 すると、少女が息を吹き返した。

 良かった。

 私は、心から安堵すると同時に下等な人間の心配をするとは、らしくないと思ってしまった。だが、彼女は生命の恩人でもある。心配するのは当然だ。

 半身を起こした彼女と目が合う。

 吸い込まれそうで、無垢なサファイアの瞳が私を見つめている。


「——なぜ、私を助けた?」


 私を助けても、少女には何のメリットもないはずなのに。


「……倒れている人を助けるのに、理由が必要でしょうか?」


 何と、この私を助けたのは無償の行為だとでも言うのか。

 フッ、人間に借りを作るなぞ邪神ゾアの恥だと思ったが、案外、悪い気はしない。

 彼女の黒髪の中心に、白銀ぎん色のシャギーが一本入った。これは、少女が私の眷族になった証に他ならない。


「そうか。理由など必要ないか——人間とは不可思議な生き物だな」


 久しぶりに、私は笑っていた。

 なぜかは、分からないがこの娘を気に入ってしまった自分が居た。


「お前の名は、何と言う?」


「アイナと申します」


「そうか。私の名は、ナイアーラトテップという。お前には助けられた。礼を言う——話は変わるが、私と共に来ないか」


 こうして、私の従者にアイナが加わったのだった。




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