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冒険者ルーク 91

 

「ところで、物は相談だがよ——アンちゃんのその剣を、見せちゃくんねぇか?」


 ラズロがおずおずと切り出す。

 巨石をぶった斬ったリジルに、興味津々だ。

 俺は構わないが、リジル本人の意志を訊かないとな。


 〈リジル——このオヤジに、お前を触れさせても良いか?〉


 〈マスターの頼みなら、良いよ〉


 これは、後からリジルに訊いた話だが、彼女らインテリジェンス・ウエポンには触覚のようなものがあるらしい。

 武器の所有者とリンクすることによって、斬れ味を増したり、逆になまくらになったりするようだ。

 ラズロに触れる時に、リジルは触覚を遮断した。これで、どれだけ触られてもセクハラ案件にはならない。


「ふぅむ——剣身に古代の魔法文字ルーンを刻印した業物か。概算だが、価格だけでも一億ゼニスはする代物だな。さぞかし、名のある鍛治師が拵えたものなのだろうな」


 すいません。魔法陣を錬成する手順で、即興で作っちまいました。

 刻印は、さほど難しい工程ではない。

 問題は、ルーン文字の組み合わせだ。

 力ある言葉ゆえに強力だが、使い方を一歩間違えれば、暴走することもある。

 ——例えば、失われたソロモンの指環がそうだ。

 指環を正位置の逆に嵌めると、『天を攻撃する肉欲の山羊』という呪句が浮かび上がり、装着者は破壊の権化へと変貌するらしい。

 これは、俺の魔法の師、マナナン・マクリールからの情報だ。

 変わり者だが、こと魔法においては一級の腕の持ち主だ。

 これで人格者ならば、尊敬できるのだが——奴は、弟子で人体実験——猫だから猫体実験か——を行うのが趣味のサイコパスなのだ。

 ニャン体実験の日々を思い出すだけで、殺意が湧きまくる。

 何が、マナナン・マクリールだ。

 貴様なんか、マンナン・マクリールで充分だ。

 マンナンは、こんにゃくだ。

 俺としたことが、こんにゃくに失礼だったな。

 でも、あのオッサンなら、物質をこんにゃくにする魔法を開発してもおかしくはない。魔法に対する探究心には頭が下がるが、人格がすべてをぶち壊す残念師匠がマナナン・マクリールという男なのだった。










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