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妖魔の森の赤帽子 5

 

 数分後、レッドキャップ狩り御一行を乗せたケスリーは、妖魔の森とダズリング伯爵領の境界へと入り込んでいた。

 妖魔の森は、彼らの隠れ家らしく鬱蒼とした怪しげな樹々が生え揃っていた。

 すでに入口付近に差し掛かっている。


「ま〜た、性懲りもなく来ちゃったかい。何度来ても、オラには勝てねぇつぅのがわがんねぇかな?」


 件のレッドキャップは、目の前の大樹の梢の大きな幹に寝そべり、手ごわい鼻クソをほじっていた。背中にはバトルアックスの姿が、見え隠れしている。


「グフ様に勝てる奴なんざ、ティル・ナ・ノーグ中探したって、いやしないさ。早く、あんな奴ら殺っちゃいな!」


 謎の声は好戦的なのか、グフを焚きつける。どのみち、目の前に障害が立ちはだかるならば、排除しなければならない。

 三白眼で八重歯のサンタ。

 一見、無害に見えるレッドキャップだが、妖魔の森に住む以上、邪悪な存在であることに代わりはない。今回は、たまたまグフの機嫌が良かっただけで、大量の死傷者を出していたかも知れないのだ。

 そうなれば、黒猫自身どうなっていたかわからない。

 ルー・フーリンも妖精である以上、妖魔化するリスクを抱えているのだ。

 グフがいる場所からは、レッドキャップ狩り御一行が見下ろせる。

 奇襲を仕掛けようと思えば、いつでも実行できる。

 が、グフは普通のレッドキャップではない。

 超目立ちたがりの自信家だ。

 つまり――


「キャッホー! 寄せ鍋騎士団のバカヤローども。何度来ても、このレッドキャップのグフ様には勝てねぇって、わがんねぇかな?」


 腹が空いているのか妖精が、寄せ鍋に置き換わっている。


「バカな! これほど近くにいて、気配を感じないとは!?」


 大樹との彼我の距離は五メートルほどだ。

 ルーはスタッと地面に降り、件の赤帽子を被った邪妖精を見上げ、フラガラッハを抜き放つ。


「ゴチャゴチャ、うるせっての!」


 グフは一際大きな鼻クソ玉を、黒猫目がけ放った。

 奇妙な攻撃に戸惑いながら、ルーは身体を横にずらして事なきを得た。

 次の瞬間、黒猫の喉元には斧の刃が突きつけられていた。


「オメーの首、もーらいっ!」






















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