冒険者ルーク 81
「おったまげたな、俺の体内にあんなモンスターが潜んでたとなは——」
呆然とするケンプ。
アレッキオも驚愕している。
「体内の水分が無くなったんで、アルプ・ルハラは、たまらず水辺へと出て来ざるを得なかったのさ」
小瓶の中で、もだえる青と黄のまだら模様のイモリ。
きっと名前は、ミユキだろう。
なんてな。
「まさか、こんな寄生型のモンスターが存在していたとは!?」
と、アレッキオ。
「いや、助かったぜ。エルフの兄ちゃん。アンタは命の恩人だ」
ケンプは俺に握手を求めて来た。
人、一人の命を救えたのだ。
悪い気はしない。
これで、また一歩、父上に近づけただろうか。
「お見事でした、ルーク殿。塩漬け依頼完了、見届けました」
笑顔になるアレッキオ。
「じゃあ、次に行くか」
俺は、アレッキオを促す。
「次、とは?」
塩漬け依頼は、二つあった。
上手く行けば、夕方までには終わる。
「庭の裏手にある、巨大な岩石の除去だ」
塩漬け依頼になるには、理由がある。
冒険者たちは、その依頼が労力に見合わないと判断すると、それを受けない傾向がある。が、塩漬け依頼をこなすことによって、ギルドでの評判は良くなり、コネも出来る。このコネを通じて、通常は手に入らない情報やレアなお宝をゲット出来たりする。
コネクションは大事だ。
人生をより良く生き抜くには、賢く立ち回る必要がある。
コネ作りは、その一つだ。
俺は踵を返すと、次の依頼場所へと足を向けるのだった。




