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冒険者ルーク 80

 

「——エルフの兄ちゃんよう、俺は痩せる原因が知りたくて、塩漬け肉が食べたいわけじゃないんだがな」


 俺とアレッキオとケンプは、近くのマゼラス川へとやって来ていた。

 目の前には、簡易テーブルに積まれた塩漬け肉の山。


「そんなことは、分かっている。貴様が痩せるようになったのは、水辺で眠り込んでからじゃないのか?」


「なぜ、それを!?」


 驚愕するケンプ。

 やはりな。


「なら、話は簡単だ。この塩漬け肉を死ぬ気で食え!」


 俺は、人数分の椅子まで出した。


「理由ぐらい、教えてくれたって良いだろう」


「この塩漬け肉を限界まで食べれたら、教えてやる。それに時間がない。もたもたしてたら、本当に死ぬぞ」


「チクショウ、何が何だか分からねぇが、食えば良いんだろ、食えば!」


 ケンプは、やけくそ気味に塩漬け肉を片っ端から食べ始めた。

 塩漬け肉の塊を十個ほど、平らげるケンプ。


「クソッ、食べる側から腹が減りやがる! こんなんで本当に治るのかよっ!」


 アレッキオも懐疑的な視線を俺に向ける。


「心配するな。今のところ、順調だ」


「喉が渇いた。水をくれ」


「ダメだ! 水は、俺が良いと言うまで飲むな」


 強い口調で、俺はケンプの願いを却下する。

 ——そろそろ、出てくる頃合いだがな。


「うっ! 気持ち悪りい——」


 ケンプが川へ吐きに行く。


「おええ!」


 何と、ケンプの口から吐き出されたのは小さな一匹のイモリであった。

 ルーは、すかさず用意していたガラスの小瓶にイモリを収納する。


「——アルプ・ルハラ、人間に寄生するイモリに似たモンスターで、こいつが貴様から栄養を吸い取っていた張本人だ!」


 俺の灰色の脳細胞は、難解な謎をまた一つ解き明かしたのだった。







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