冒険者ルーク 75
形勢逆転を嘲笑うかのように、呵々大笑するゴル=ゴロス。
「ギャギィギャヒヒッ!」
耳障りな笑い方をする。
腐っても邪神。
私の考えが甘かった。
封印されているのは、邪神という名の特殊個体であるということを忘れていた。
魔界に送り出した邪神バフォメットによれば、大悪魔マルコキアスもギフトに、超速細胞再生を有するキング・プラナリアという能力を所持しているらしい。
超速細胞再生の弱点はシンプルだ。
再生する細胞の活動限界まで、切り刻めば良いだけ!
私は全身の髪を鎌状にして、物量攻撃を仕掛ける。
シックルヘア・モードと言ったところか。
踊れ、ゴル=ゴロス!
幾千幾万もの鎌髪が、漆黒のヒキガエルを切り刻む——が、切ってる側から瞬時に再生されて行く。
——大幅に時間が経過した。
体感にして、三時間は過ぎているだろうか。
クソッ、概算だが七万回は切りつけてるはずなのに、ゴル=ゴロスの野郎はカエルの面に何とやらだ。
それでも、切りつけている分、奴の体積も減って来ている。
そこかしこに、カエルの腕や脚や頭部や内臓やらが飛び散っており、私の人間界のお気に入り、ラルマーニのブランドスーツも奴の体液やら酸弾やらで原型を留めていない。
疲れて来た——
疲労感など、珍しい。
いつ以来か。
敵対する邪神と戦って以来か。
休憩がしたい。
そうだ、休憩しよう。
ナイアーラトテップを休憩に処す!
私は極刑に処すみたいなノリで、休憩に入る準備をする。
「召喚、ナイトゴーント!」




