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冒険者ルーク 71
邪神が暗黒物質であるダーク・マターで創ったのが、輝けるトラペゾヘドロンである。
見た目はルービックキューブ状の多面体だが、魔物の眼球が装飾されており、意志を持っている。
ナイアーラトテップの所有する、それは転移とストレージと、邪神の卵を孵化させる機能を所持していた。
這い寄る混沌はトラペゾヘドロンの転移座標を地球に設定し、古代マヤ文明の地下遺跡へと降り立った。
遺跡内は、トラロクやケツァルコアトルなどの神々の石像が祭られており、石造りの神殿の中央には、巨大な漆黒のヒキガエルがまどろんでいた。
全長は三十メートル近くある。
ヒキガエルの邪神ゴル=ゴロスは、縦に裂かれた赤い単眼と腹部には、もう一つの裂けた大口があった。両腕には刃状のヒレがあり、全身はウロコで覆われていた。
「醜いな——」
忌憚のない意見を述べる、ナイアーラトテップ。
「弱い個体を核の中に入れても、下級の邪神しか生まれない。少々、戦ってみるか」
這い寄る混沌は、白銀の長髪を蛇のムチと化して、思いっきりゴル=ゴロスの右頬に当たる部分を叩いた!




