冒険者ルーク 66
ギルド職員と思われる誰かがドアをノックする。
ふわぁ、まだ眠い——
お休みなさ……
ドン! ドン! ドン!
どこぞの国には、寝させない拷問が存在したっけ。
今、俺は願いを叶える竜の球だと言うのに。
就寝中——何か違うな。
眠気も覚めて来たので、俺はドアを開けてやった。
まったく、開いて良いのは、夏への扉だけだと言うのに。
「冒険者のルーク様ですか!? 冒険者ギルドのクロードです。朝早く、申し訳ないのですが、至急ギルドへお越しいただけますか?」
クロードは一瞬、俺の美貌に面食らったようだが、きっちりと用件を告げて来た。
「分かった……」
もう少し、二度寝したかったがギルマスへ報告を怠ると面倒くさそうだから、出勤する。
態度がぶっきらぼうなのは、睡眠が足りずに機嫌悪いからだ。
——ギルドに着いた途端、俺は解体場に連れて行かれた。
なぜに!?
クロードの話によると、ドライアド美女軍団が大量のゴブリンの左耳と魔石をギルド職員らに預けて行ったそうだ。
で、職員らが数量をカウントしたので、確認して欲しいらしい。
まぁ、三千を越えてからは、俺も詳しくカウントしてなかったな。
地面に規則的に並べられた左耳と、回収した武器類で、そこら中埋めつくされていた。
どれどれ。
三千よりも遥かに多い気がする——
解体のバルディが、驚きと呆れが入り混じった声をだす。
「……ゴブリンの左耳、メイジやアーチャー、ジェネラル、キング——まとめて、三万六千九百体分ある……これだけの規模のゴブリンの討伐証明部位は、初めて見たよ。お前のランク、もうS級で良いんじゃねぇか?」
ニャンです、と!
三千より、やや多い感じだったのに——そんなに、殺していたなんてな。戦闘に意識を傾注しすぎていたか。
報酬が楽しみだな。
マイマニー。
お金は大事だ。
お金だけに、おっかねぇ時がある。
なんてな。 …




