冒険者ルーク 59
進化したドライアドは、胸も大きくなっており、彼女らは豊満なメロンを押し付けて来る。
オッパイがいっぱい過ぎて、感触を楽しむというよりは柔らかなボールを何回も押し付けられて、窒息しそうだった。
人間界で観た猫動画では、たくさんのヒヨコが波となって、猫が埋もれて行くものがあったが、そのドライアドバージョンがそれだった。
俺は感謝もそこそこに、その場を逃げ出した。
もちろん、薬草を亜空間ストレージに入れるのも忘れない。
俺は加速装置ならぬ、加速魔法を使う。人間界のマンガでは、主人公のサイボーグが奥歯を噛むと加速する機能があったっけ。
俺は風魔法に任せて、気がついた時には森の奥まで辿り着いていた。
ふう、窒息死するかと思ったぜ。
これじゃ、抱擁じゃなくて、ホヨヨだ。紫髪の眼鏡っ子アンドロイドが如く、ただただ驚くばかりだ。
——近くに、何かが居る!
俺の索敵魔法はパッシブにしているので、常に発動状態なのだ。
数は七匹。
相手は単体なら、何の脅威でもない。だが、数が増える毎に討伐難易度は跳ね上がる。
そう、奴らはゴブリンだ!
おそらく、冒険者が最初に出会うであろう人型モンスターの筆頭が奴らだろう。
卑怯な奴のことを、ゴブリン野郎と言う。
なぜなら、殺人を楽しみ、人族の女を攫っては犯して、子供を産む苗床にする邪悪な種族だからだ。そして、子を産めなくなった母体は、奴らの食料となる。
まったく、胸くそ悪い話だ。
小柄な身体に緑色の肌。乱杭歯で、腰には汚れた薄布を巻いただけという悪臭製造機。個体によっては、風魔法を使い、家畜や作物を食い散らかし、異常なまでの繁殖能力で、増え続ける厄介なモンスターなのだ。
ゴブリンの巣には、大体五百規模の集団がおり、討伐依頼は常時出ている状態だ。
軽く索敵した結果、周囲にも巣と呼べる洞窟が点在していた。
不味いな、これは——
周囲の索敵が終わり、俺はギルドに援軍を送ってもらうことを考えた。
概算で、巣の中には三千を超えるゴブリンの集団が居た!
間違いない。
ゴブリン・スタンピードの兆候だ。
小鬼どもの数が増え過ぎて、街中まで襲って来る行為がそれである。
ギルドの応援が早く到着するかは五分五分だ。ゴブリンだけに。
とりあえず、片っ端から斬り捨てて行くしかあるまい。
ゴブリンらは臭いので、俺は鼻の穴とリジルにコーティングを施し、臭いをシャットダウン。
風魔法で鮮血がつかないよう、反射の魔法を発動させる。
この周辺の地理は、頭に入っているから、目につくゴブリンは斬り捨て御免だ。
まぁ、三千なら想定の範囲内だ。
蜂のように小さな個体なら苦戦するが、剣で対処できるサイズなら無問題。
俺と死のダンスを踊ろうぜ。
さぁ、ゴブリン・カーニバルの始まりだ!




