冒険者ルーク 54
結論から言えば、フェンリルの毛皮と牙は二百万ゼニスちょいになった。かなりの高額だ。フェンリルが希少種というのも関係しているだろう。
俺はルナリィにギルド登録料を払い、金貨と少量の銅貨をもらった。
懐はホクホクの葛飾北斎だ。
ホクホクトウに進路を取れ。
なんてな。
そんな俺に近づいて来る人影がある。
チーム、アンポンタンだ。
「よう、新人。景気良さそうじゃねぇか」
確か、アンガスとかいう奴だったな。
「悪くはないな」
「エルフってのは、弓が専売特許だろ? その腰に提げた剣、俺らがもらってやっても良いぜ」
下卑た笑いをする、タンガ。
ギルド内の揉め事は、基本、干渉しない。ルナリィが不安げな顔で状況におろおろしている。
俺は優しい笑顔を、ルナリィに向ける。
彼女に気をつかわせないように。
「一流の冒険者になれるよう、俺らがレクチャーしてやるぜ? もちろん、レクチャー代はいただくがな」
と、ポンティアル。
「心配ない。俺は弓も槍も剣もこなす、オールラウンダーだ。そういうのは間に合っている、先輩?」
俺に構うな。
やれやれ。
冒険者のモラルの低さは、考えものだな。
いや、たまたまコイツらが低いだけか? …




