冒険者ルーク 51
「この支部のギルドマスターか!?」
おもむろに、俺は訊いた。
鑑定で正体が分かってても、演出は大事だ。大体、偉いさんは威張り散らす無能か、我関せずのタイプか、実力やコネを持つ叩き上げの人物に大別される。
まぁ、所属する組織によっては管理をスムーズにするために、うつけを演じている奴もいる。
人間界の歴史を調べると、実に様々な偉人が居る。
尾張のうつけ、織田信長や一夜にして、フランスを己れの帝国にしたナポレオン。
この二人には、父上のような強大なカリスマを感じる。
おっと、話が逸れた。
ギルマスのレグルスは鑑定を始める。
解体のオッサン、鑑定ではバルディと出た——は、不安げな顔だ。
じっくりと、フェンリルの体毛を鑑査していたレグルスは、
「……信じられねぇが、紛れもない本物だ! 確かに、希少種の毛皮と鑑定が出ている。お前、これをどこで……」
「フェンリルの友人にもらったのさ。いや、狼だから友狼になるのか?」
「ふざけやがって! 魔獣フェンリルがダチだとっ!?」
「長命のハイエルフ種のメトセラは、いろんなところに顔が効くのさ。俺の話が、話半分としてもフェンリルの毛皮を持ち込めるほどの実力があると認めてもらえるかな?」
レグルスは眼前のハイエルフを前に、冷や汗を掻いていた。
鑑定を施そうとするが、一瞬で弾かれる。
これは対象がレグルスよりも、上のレベルだと言うことを示唆している。
美貌のハイエルフだが、しなやかな筋肉が付いており、動く姿は肉食の獣が忍び寄るかのようだ。
目の前に居るのは、毛並みの良い黒猫ではなく、爪を隠した黒い肉食獣だ。
それに、メトセラの話は伝承に残されている。一万年を生きる長命のエルフ——それが、メトセラ種だ。
レグルスもフェンリルと相対したことがある。ギルドで数十名を募ってのクエストだったが、蓋を開けてみれば、十名が死亡。三十名が重軽傷を負い、クエストは失敗に終わった。
S級と呼ばれる冒険者はフェンリルと渡り合うと聴くが、どれほどの化物かと戦慄したことを覚えている。
ルー・フーリンの瞳には、絶対強者としての自信が感じられる。
単純に、あのフェンリルの毛皮を持ち込めるコネ——もしくは、実力があるとするだけでも大変なことだ。
それに、このエルフの若者は王族であるかのように、落ち着き払っている。
レグルスは本能で、黒猫王子の正体を勘づいたのだった。
すいません。
ルーの視点と、ストーリーの視点が混ざってますね。
その内、直しておきます。
今日は、平原綾香さんの『はじまりの風』
という曲を聴いてました。
アニメ『彩雲国物語』の曲ですね。
アッシ的には中華ファンタジーは、
『十二国記』一択ですね。
薬屋も面白いですが、こちらの方が好きです。
小説とアニメは別版ですが、どちらも楽しめると思います。
あと、久々にストレィキャッツを聴きました。
野良猫とか、迷い猫って意味らしいです。
ボーカルのブライアン・セッツァーの声がかっこよすぎて死ぬ!
ロカビリーな感じで、
『憧れのブラックキャデラック』って曲がゆったりなテンポのロックでカッコイイです。
「俺の愛車のキャデラック、カッコいいだろ!」って、自慢してる曲なんすけどね。




