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冒険者ルーク 49

 俺の冒険者登録を担当してくれたのは、猫獣人の受付嬢ルナリィだった。

 彼女は新人の十六歳で、セルリアンブルーにカッターシャツとオレンジのネクタイのギルドの制服姿がかわいい女の子だった。

 同じ猫族ということもあり、親近感を感じる。

 俺は、この世界の通貨を持ち合わせていなかったので、フェンリル母さんからもらった牙と毛皮を査定に出し、ギルドの登録料に当てるつもりだ。

 つうか、アイテールの奴め、登録料の通貨くらい用意しとけっての!

 いきなりの経済危機を痛感——通貨だけに。はぁ、乾いた笑いしか出てこねぇ。

 フェンリルの毛皮だから、多少良い値段で買い取ってくれるはずだ。

 俺の計算では、五万ゼニスほどにはなる感じだ。五万円あれば、隣接する宿屋で三泊くらいはできるだろう。

 買い叩かれるとしても、三万ゼニスくらいあれば良い。とにかく、メシと風呂と睡眠が俺には必要だ。

 なんだかんだで、邪神とは三時間近く戦っていた計算になる。

 とりあえず、休みたい。

 今なら休み隊の隊長にでもなれそうだ。

 まさか、宿屋のメシが猫まんまというオチはないだろうな?

 俺は生粋のハイエルフらしいが、ベジタリアンという宇宙人ではない。

 肉も野菜も魚も、こよなく愛している。

 よく、野良猫が昆虫を咥えているシーンを見かけるが、俺は昆虫食は苦手だ。

 昔、師匠の一人であるヌアザが生きたままのセミを大量に捕まえて来て、その場でガブリとイっちゃうものだから——それ以来、タイガーホース——違った。トラウマで、セミを見ると胸が痛くなる。

 だって、目の前でジージージーと悲痛に鳴くんだぜ。寿命も一週間足らずだと言うのに——あまりにも、可哀想すぎて切なすぎる。せめて、安らかに——

 とりとめのないことばかり考えていると、モンスターの解体を終えたらしき親方が、開口一番叫びやがった。


「このフェンリルの毛皮を持ち込んだ奴は、どこのどいつだ!」


 あー、俺だな。

 個人情報ダダ漏れなんだが——気の所為か、またギルド内の冒険者らの目線が一斉に俺に向いたのは間違いではないだろう。

 見つめちゃ、イヤン!

 プライバシーの侵害だ。

 特にフェンリルのような希少な神獣の情報は、シャットダウンしなくてはな。

 どうやら、五万ゼニスよりも高値が付きそうだが、詮索は避けたいので、先に裏のマーケットに行くべきだったかな?

 そりゃ、登録したてのG級冒険者がフェンリルの素材を持ち込んだら、こうなるか。

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