冒険者ルーク 31
新たなる力、ジャガーノートで身体を極限まで強化し、縮地で暗黒の邪神の眼前へと躍り出る。
すぐさま、触手が俺を絡め取ろうとするがバックステップで回避し、距離を取る。
禍々しい第三の眼が、俺に精神攻撃を仕掛けてくる。
シュブ=ニグラトは、俺の心の深部に侵食してくる。
俺の心の弱い部分。
それは、俺の存在理由だ。
猫の姿で生まれ、妖精国の王子。
しかも、呪われている。
そんな俺に、生きる価値はあるのかと父に問うてみたことがある。
「父上、俺は自分の人生に生きる価値を見出せないのですが——」
父上は、しばらく黙考した後——
「お前は私にとって、ただ一人の大切な息子。そして、私の誇り。それ以上でも、以下でもない。それだけの理由では、不十分かな?」
「巷では、俺は父上の実の子ではないとの噂があります——」
「おお、私の可愛いルー。どこにでも、口さがない雀は居るものだよ。お前は、私の誇り。そして、私はお前に誇れる父親であり続けるよう努力しよう。互いを誇れる親子の関係でありたいと私は願う」
「父上……」
この会話をきっかけに、俺は父上を敬愛するようになった。俺は英雄王、クー・フーリンの息子として、恥じないよう生きて行くことを決めたのだ。 …




