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冒険者ルーク 27
俺がジャガーノートへと変身する間、ケルベロスの群れはシュブ=ニグラトによる触手で捕食されていた。
ガルムが善戦するも、数千に及ぶ触手には到底敵わない。
そして、邪神の幼体——セルリアによれば、ヘゼルゴートというらしい——を弾丸のように撃ち出す、黒山羊の魔獣の身体中に無数の眼球が生まれ、石化の魔法を掛けてくる。
無駄だ。
常に呪われている俺には、状態異常をほぼ無効にできる耐性が身についている。
今回、初めてジャガーノートの姿になった俺だが、この状態での魔力の消費がハンパない。
ヘゼルゴートの弾丸が次々に打ち出され、俺はクラウ・ソラスで斬り捨てる。
斬れ味は悪くない。
自身で産み出した仔を、まるで武器のように扱う黒山羊め。邪神ゆえに、母性の欠片もないのだろうか。
これほど沢山の幼体が野に放たれたなら、たちまち世界は死の大地と化すだろう。
ガルムに疲労の色が、濃く見える。
俺はシュブ=ニグラトに特攻を仕掛ける。
ピラニアのようなヘゼルゴートは、旺盛な食欲でガルムの脚に噛みついて来る。
厄介な奴らめ。
この俺が退治してやる!




