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冒険者ルーク 26

 俺が変身している間、ガルムが邪神から守ってくれた。こいつは陰ながら一族を守護し、番いのフェンリルを攻撃し遠ざけることで邪神の魔の手を防いでいたのだろう。

 何て奴だ。

 さすがは、神獣に選ばれるだけはある。今ならば、マーナガルムに戻すことも可能だろう。良かった。

 と、まずはジャガーノートのスペックを調べなければ。

 俺は軽く跳躍し、ジャンプ力を測る。

 すると、二十メートルも跳躍してしまった。

 さらにリジルを振るうと、抜剣が音速を超えた!

 何じゃこりゃ!?

 確かに、邪神と相対するには必要なスペックなのだろうが制御できる自信がない。

 事実、身体が振り回されてフラフラだ。


『鑑定が済みました。黒山羊の邪神の名は、シュブ=ニグラト。自身の身体に邪神の幼体を寄生させ、敵を捕食しパワーアップします。また、弱った幼体を捕食することで進化します。意思の疎通が可能かは不明。破壊衝動と捕食衝動を検知。一刻も早く、討伐することを推奨します』


 軽く、言ってくれる。

 弱った幼体を捕食って、ライオンの子殺しみたいなものか。

 自然界を生き抜けぬと判断した仔は、母親によって殺され、次の仔を産み出す養分とされる。

 合理的な考えなのか、邪神自体の思考形態なのか判断できないが、この世界から排除しなければならない存在なのは確かだろう。

 エインセルの鑑定の仕事は分かりやすい。おそらくは調査・分析に長けた精霊なのだろう。


『追加報告、邪神の弱点属性は火です。相手の弱点を突くことで、戦闘を有利に運べるはずです。セルリアからは以上でした』


 どこぞのニュースキャスターかよ、と俺はツッコミたかったが、お役立ちな情報に満足だ。

 まずは、炎剣クラウ・ソラスの斬撃を飛ばす。

 飛燕斬ならぬ火燕斬、なんつって。

 シュブ=ニグラトへ着弾した炎の斬撃は、邪神の俺に対する脅威度を引き上げるのに充分な威力があり、奴は威嚇のために奇怪な言語をしゃべるのだった。


 〈ガガ・ギギ・ゴガ!〉


 何、言ってるか分かんねー。


『この惑星の生物を根絶やしにする、と息巻いてます』


 セルリアの翻訳が、サポートしてくれる。

 生物を根絶やしとか、発想が物騒だっつの。

 ま、怒りを買った一因は俺の攻撃によるものなのだが。

 やれやれ。   








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