冒険者ルーク 23
『この状況を打開する案がございます』
と、セルリアが言う。
『それは、何だ? 相手は、邪神だぞ。奴に届く攻撃があるのか!?』
敵は邪悪なる神だ。
ケルベロスを捕食する度に、禍々しく変貌して行く。
紅い双眸は狂気を孕み、第三の縦に裂かれた目は脅威と認定したルー・フーリンに注がれている。一対の山羊角は蛇骨と化し、奇声を上げている。
勝てるのか、俺は!?
いや、最悪撃退できるかどうかか!?
『ございます。主様の第三の形態、獣人ジャガーノートならば可能です。さらに、リジルに炎の属性を付与することにより、炎剣クラウ・ソラスを現出させることができます!』
エインセルのセルリアが、そう太鼓判を押すがジャガーノートというワードは初めて耳にした。クラウ・ソラスは俺の師の一人、神々の王ヌアザの持つ神剣だ。それと同等の攻撃を、リジルは再現できるのか?
切れるカードがあるなら、出し惜しみはしない。
邪神を殲滅する。
戦闘のエリートの俺でも、神と戦うのは初めてだ。
武者震いがする。
黒猫王子から、神殺しにジョブチェンジできるだろうか?
それは、誰にも分からない。
俺はただ、アイテールの仕事をこなす。邪神を倒した暁には、奴を一発ぶん殴ろう!




