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冒険者ルーク 20
俺はどうやら、エステルギアの魔物を——いや、かつて神獣だったマーナガルムを甘く見ていたようだ。
奴はあの巨体を自由に操り、俺のケルベロスらに放った攻撃を完璧に防いでいる。
だが、俺とて本気ではない。
使い慣れぬリジルのクセを見極めながらの応戦だ。
精霊エインセルによれば、リジル作成には複数の魔獣の素材が使われていて、それがインテリジェンス・ウエポンができた要因でも、あるらしかった。
ラスボスであるシュブ=ニグラトをターゲットに斬撃を飛ばすが、ここで違和感を感じた。
ガルムは必要最低限の反撃で、飛燕斬を無効化するがすべての攻撃を防いだわけではない。
一族であるケルベロス——マーナガルムはケルベロスの進化形態だ——への攻撃は通さないが、邪神への攻撃は幾つかが通るよう調整しているのだ。
俺はガルムの真紅の双眸を見つめた。
禍々しい紅眼の中に、知性の揺らぎが見える。
間違いない。
ガルム——奴は、プリテンダーだ。
精神汚染に掛かったフリをしながら、ケルベロスたちを守護していたのだ!




