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一週間前の出来事 17
「ならば、貴公の使い魔になろう」
グラーシャ・ラボラスの提案に、黒猫は目を丸くする。
「ほう、魔界の序列上位の悪魔どのが、俺の使い魔になると?」
面白いオモチャを見つけた猫のように、ルーは目を輝かせる。
「そうだ……」
グラーシャ・ラボラスは屈辱に、身を震わせる。
「良いだろう。だが、保険はかけさせてもらうぞ」
黒猫がフラガラッハで自身の肉球に傷をつけ、血を数滴、蛇の姿のラボラスに流し込む。
次いで、黒猫は使い魔よろしく呪句を唱えた。
「ゲホッ! 貴様、わしに何をした!?」
むせる蛇に、黒猫の冷徹な声が聴こえた。
「貴公に呪いをかけた。もし、俺を裏切ることがあれば、その血は毒となり貴様の命を奪うだろう」
瞬時にルーは回復魔法をかけ、切り傷を癒す。
「ついでに、しばらく眠っていてもらおう」
黒猫がフラガラッハの柄を向けると、蛇が吸い込まれた。
魔剣フラガラッハの中にある、亜空間収納である。
「これで、一段落つけると良いのだが」
問題の京子を見つめながら、黒猫がつぶやいた。




