表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

482/641

アブディエルの野望 22

 イルルヤンカシュがアブディエルを咀嚼する前に、ラジエルの書は難を逃れていた。

 ラジエルの書は生きている。

 脈動する書物から光が溢れ、そこから一人の天使が誕生した。

 ラジエルである。

 彼の本体は、辞書であった。

 長年使われた器物には魂が宿り、付喪神という妖怪と化す。

 ラジエルは天界の、付喪神のような存在であった。


「……アブディエルの反乱は終息、と」


 ラジエルから、溜め息が漏れる。

 あのアブディエルでさえも、サンダルフォンには勝てなかった。

 神は、サンダルフォンを実の息子のように可愛がっていた。

 ゆえに、堕天したドラゴンを殺さずに封印した。最強の天使が堕天した存在の前に、天使の軍団は壊滅し、神は己れの決断に涙した。

 慈しんで作った存在たちが、敵・味方に別れて殺し合う。

 天使と悪魔の抗争に、最も心を痛めていたのは神・アドナイ自身であった。

 サンダルフォンを止められる者、あるいは殺せる者は現れるのか。

 正気へと戻ったドラゴンは、再び血の涙を流す。


「マタ 同胞ヲ 殺メテシマッタ」


 雷帝竜が慟哭する。

 彼を止められる者の出現を天界は、もう少し待たなければならなかった。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ