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アブディエルの野望 17

 

 一方、アブディエルは稲妻のブレスを捌くのに、手一杯だった。

 矢継ぎ早に稲妻のブレスがアブディエル目がけ、飛んで来る。

 紙一重で回避するも、雷帝竜の稲妻のブレスには稀に追尾機能がついた攻撃があり、五回に一回は着弾していた。

 剣で捌いた雷撃も、百や二百どころではない。確実なダメージが、反逆の熾天使へと蓄積されて行く。

 バルディエルが居たならば、彼を囮に攻撃を仕掛けることも可能だっただろうが、バルディエルは愛人を追って、死の雪原へ降り立ってしまった。


「くそったれのバルディエルめ、この場を切り抜けたら、真っ先に処刑してやる!」


 アブディエルの天使らしからぬ暴言を、咎める者は、誰一人としていなかった。







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