470/635
アブディエルの野望 13
バルディエルがレリエルの元へ行こうと、翼をたわめる。
そこへ、アブディエルからの叱責が飛ぶ。
「バルディエル、持ち場を離れるな!」
雷光の天使は一瞬、苦悶の表情を浮かべる。
こうしている間にも、雷帝竜からのブレスは止まず、アブディエルは攻撃を捌くのが、やっとであった。
「レリエルを見捨てておけません。彼女は重症です!」
バルディエルは、そう言い放つとレリエルが飛ばされた場所に当たりをつけ、降下する。
「馬鹿者めが!」
レリエルを追ったバルディエルに向け、アブディエルが言い放った。
戦線を離脱した二人だったが、サンダルフォンは追撃の手段を有していた。
雷帝竜の牙が抜け落ち、竜の頭部を模したスケルトン十数名が、死の雪原へと降り立つ。
高位の竜は自身の牙から、己れの兵隊を作ることができる。
これは、竜牙兵やドラゴントゥースウォリアーと呼ばれる者たちであり、サンダルフォンの分身のようなものであった。




