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アブディエルの野望 6
天界――黄金宮殿の裏手には、封印された門がある。
そこには、一頭の巨大なドラゴンが幽閉されているらしい。
ラジエルの書には、そう書かれており、竜を討伐した者には、強大な力が与えられるとある。
アブディエルは配下の天使、数名と共にゲートを潜り、ドラゴンを探索する。
アブディエルは二つのものを欲していた。即ち、力と権威である。
武闘派である彼だが、メタトロンの影に隠れて目立つことはなかった。今こそ、強大な力を手に入れ、天界に君臨する神となるのだ。
そこは、異質であった。
白い霧が立ち込め、大地は雪原のように白銀に輝いている。
「アブディエル様!?」
配下の天使の一人が、ただならぬ表情でアブディエルを呼び止める。
天使の指差した雪原は、奇妙な感じがした。
全員が下方へ降りると、その違和感の正体が判明した。
雪原と思われたのは、無数の白骨化した天使と抜け落ちた羽根で、その大地は構成されていたのだった。
「むう、竜の毒牙に掛かった天使らの成れの果てか……」




