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冒険者ルーク 9
「貴様のいうガルムが、どれほどのものか知らぬが、倒して良いのだな?」
ハイエルフが訊いた。
かつては、神の眷族だったとなると、昔は彼女の仲間であった可能性が高い。
『かつての友の姿は、もうどこにもない。ガルムを制圧できるというのであれば、お願いしたい』
「承った。まずは貴様の治療をしよう」
瞬間――ルー・フーリンがフェンリルの眼前に現れ、片手をかざす。
『縮地か!? 見事なものだ。この我に気配すら感じさせぬとは』
「思ったよりも、臓器の損傷が激しい。その上、身重とはな」
ルーは鑑定スキルで、フェンリルが妊娠していることに気づいた。
「眼もあまり、見えていないのだろう。面倒だ。一気に全部治すぞ」
『全部だと!?』
「妖精が使う回復魔法では、最上級のものだ。〈ディアン・ケヒト〉!」
ルーの右手から癒やしの波動が放たれた。




