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冒険者ルーク 5
『偉大なるクー・フーリンの足跡を探す、聖地巡礼の旅! どうだい、心惹かれないかい?』
ルーの胸は、ちむどんどんしていた。
「父上の前に道は無く、父上の後ろに伝説ができる。良いだろう。聖地巡礼の旅、乗った!」
『そこで武器と装備は、こちらで用意したけど、剣は君の魔力を通しやすいよう、名づけをして欲しい。まぁ、古竜の鱗くらいは斬れるよう、斬れ味増しといたけど、特別な付与はしてないから』
頭が悪いアイテールは気づいていないが、古竜の鱗を斬り裂く武器でも、性能的には充分にぶっ壊れているのだ。
「竜殺しの剣ならば、名前は決まっている。リジルだ」
ルー・フーリンが名づけたのは、邪竜ファブニールを屠った剣〈リジル〉だ。
ルーの使い魔リーズもファブニールだが、同じ個体ではない。彼女の先祖の竜が討ち倒された時に、英雄が使用していた剣の名前である。
リジルの剣身に赤い炎が走り、古代文字ルーンが刻まれる。
これで、リジルの所有者はルー・フーリンとなったのである。




