弓聖の救世主 17
「重力付与!」
バルバトスが矢に、重力属性を付与する。
重くなった矢は、もうマンティコアの風魔法に弾かれることはないだろう。
狩人はギフト〈イーグル・アイ〉を発動させる。
これで広範囲の敵を把握する。さらに近距離のマンティコアは、息づかいさえも感じ取ることができる。
激怒した赤獅子は、バルバトスをにらみつけるが容易に手出しはしない。
狩人の属性矢を警戒しているのだ。
ギリリと矢をつがえるバルバトス。
「獅子は地上の生き物のはずだがな」
ガーンディーヴァから四連射が発射され、それはマンティコアの四枚の羽根に突き刺さる。
重力付与の影響で、目に見えてマンティコアの動きが精彩を欠く。
「マンティコア如きでは、肩慣らしにもならなかったな」
意味を理解しているのか、マンティコアが怒髪天の猛撃で、爪と尾の二段構えの攻撃を仕掛ける。
ニヤリとバルバトスが嘲笑うと、最後の四連射を赤獅子に向け、放つ。
一つ目の矢は、口内へ突き刺さった。
次いで、右眼と左眼が射抜かれ、最後の一射はマンティコアの眉間に吸い込まれた。
ほどなくして、魔獣は生物としての機能を完全に停止した。
こうして、マンティコアのソロ討伐が完了したのだった。




