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弓聖の救世主 5
五度目の矢を放った時、バルバトスは気づいた。
アンフィスバエナは大型の獣を狩るのには適しているが、兎などの小動物を相手にするには向いていないのだ。
バルバトスは亜空間に剛弓をしまい、代わりにやや細めの弓を取り出した。
イチイバル――これは世界樹の枝から、削り出した一品である。それに加えて、矢も小ぶりな物を用意する。
これで準備は万端だ。
決して、ジャッカロープに対して向きになっているわけではない。
猿も木から落ちる。
バルバトスほどの弓の達人でも、苦手な獲物もある。
そう、バルバトスは本気を出していないだけ。得物の性能さえ良ければ、安々と狩れる。熊殺しの弓で、兎を狩るのには無理があるというだけの話なのだ。




