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弓聖の救世主 3
バルバトスは空腹と渇きを覚えていた。
天使は空腹を感じない。
というのも、天界の大気に彼らの食事となる魔素が含まれているからで、排泄行為も必要としない。
堕天してからは、お腹もすくし、排泄もすれば、眠りもする。
最初は珍しく感動すらしていたが、時が経つにつれ、面倒くさくなってくるのだった。
バルバトスの目の前を、ピョンと飛び跳ねるジャッカロープ。これは鹿の角を有するウサギで、エルフ族には高級食材に当たる。
「今日の食事は、野ウサギで決まりか」
誰言うともなく、狩人の悪魔がつぶやいた。




