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ゲイ・ボルグ 19

 

 テュフォーンの背後に、大きな島が見えた。

 その島は、異様だった。

 その島は、さながらオブジェのようであった。

 その島は、大小様々な帆船やカヌーやガレオン船などが幾つも積み重なり、一つの島を形成していた。

 これらの船らは、すべてテュフォーンに壊滅させられた残骸であった。中には、帆船島の周囲を漂う幽霊船の姿もある。

 テュフォーン級のドラゴンになると、ただ暴れるだけで人間界の時空に干渉してしまう時がある。バミューダトライアングルなどの現象は、強大な力を持つ海竜が時場を荒らした跡なのだった。

 幽霊船は恨めしそうに、テュフォーンの周囲を大きく回転し、呪いの言葉を投げかけている。テュフォーンによって、殺された者たちの無念だろうか。

 マナナンは、ふと思いつく。

 この呪詛の力を攻撃に用いることは、できぬものかと。

 魔法のカスタマイズは、マナナンのお家芸だが、呪法を用いるのは初めての経験だった。










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