426/632
ゲイ・ボルグ 18
マナナンは、テュフォーンの周囲に風の刃が常時展開しているのを感じ取った。
近づけば切り刻まれ、クラーケンの二の舞いと化す。
厄介な敵だ。
ルフトダスカーでテュフォーンの周りを滑り、付け入る隙がないかクー・フーリンは考える。
試しに腹部へと、突きを見舞うが風刃に弾かれた。妖精王の皮鎧にも、かすかな傷が付き、侵入を一旦、断念する。
マナナンの遠隔魔法による攻撃も、パッシブスキルである風の刃に打ち消されてしまう。
イルサンは戦力外で、頼みのクー・フーリンも懐に飛び込めるほどの防御魔法も攻撃魔法も有しては、いないだろう。
(詰んだな、こりゃあ)
マナナンは即座に、あきらめモードに入った。
人生、あきらめが肝心である。
だが、マナナンは人ではなく、神であった。




