422/634
ゲイ・ボルグ 15
「浮遊魔法レビィテーションは消費魔力がハンパないのじゃ。重力を維持する魔法は通常の五倍の魔力を必要とするゆえ、戦いに用いるには現実的ではない」
「だから、サーフボードなんでやんすね」
とイルサン。
「これならば、重力軽減・空気抵抗半減・海上航行の魔法を付与できる。魔力を通して、コントロールできるから海上戦にはうってつけじゃな」
「ほへ〜、乗り物酔いはしないでやんすか?」
そこまで考えていなかったマナナンは、急いで酔い止めの魔法を付与する。
「さすがはマナナン様だ。これほど複雑で高度な魔法なのに、干渉し合わないなんて」
クー・フーリンが尊敬のまなざしを、マナナンに向ける。
人物的には難ありだが、彼がトップクラスの魔道師なのには間違いなかった。
風をまとう竜の攻略。
マナナンほどの知恵者がいれば、攻略は容易と思われた。
黒猫は、おっかなびっくりサーフボード的な乗り物に乗ると、初めてスケートをはいた初心者のように、あっちへふらふら、こっちへふらふらしていた。
「激ムズでやんす! こうなりゃバトルはクーの旦那にお任せ一択でやんす!」




