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ゲイ・ボルグ 12
ラキシスの爆弾発言に、一同は驚愕となったが最終的には落ち着いた。
まだ、生まれてもいない妖精王の息子の話をしても、しょうがないからだ。
一方、ケット・シーの王イルサンには、かすかな希望が芽生えていた。
妹・ルネを見つけ出す。
そして、連れ帰るのだ。
猫の王は、重度のシスコンであった。
(待ってるでやんす、ルネ。お兄ちゃんが
絶対に見つけるでやんす)
ケット・シーの王国は浮遊しており、今は半地下の状態にある。
気まぐれな猫のように、王国ごと移動できるのだ。
もちろん、ケット・シーは魔女モリガンの創った人造妖精である一種のホムンクルスゆえ、彼女の支配圏に存在する個体は、その影響を受け、隷属してしまう。
猫の王国ルロスは、魔女の支配を免れた者らで運営されていた。イルサンは妹のために玉座を捨てる気だったが、周囲の強い要望で、妹を取り戻した暁には、猫の王へと返り咲くことが約束されている。
だが、イルサンは知らなかった。
ルネがバラーの館で、モリガンによって虐待を受けていることを。




