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ゲイ・ボルグ 8

 

「さすがは魔道王マナナン・マクリール。見事な魔法の手妻、恐れ入る。だが、私もこのような試練で、時間を無駄に費やしている暇はないので、一気に行かせてもらう!」


 クー・フーリンの眼光が狼のものとなり、身体強化を施す。

 妖精王には、すぐにでも戦場に帰らなければならない理由があった。

 敵は、邪眼バロール――巨人にして、フォモール族の王。そして、石化の魔術の使い手。

 クー・フーリン率いるダーナ神族で構成された、赤枝騎士団たちは、これに苦戦を強いられていた。

 バロールの邪眼は、半径百メートル以内のものを石化させる。

 これに対処できる防具は、ドワーフのイーヴァルディ一族がこしらえたものだけだ。ゴブニュには、バロールを倒す武器を造ってもらわなければならない。

 だが、バロール軍にも弱点はある。邪眼の能力は膨大なエネルギーを必要とする。ゆえに石化能力を使い果たしたバロールは、眠りに入るか、極端に弱体化してしまう。

 今は、バロールが眠りについているので、赤枝騎士団に前線を任せ、ゴブニュのお使いクエストをこなしている最中であった。

 マナナンの厄介なところは、無詠唱で魔法を同時多発発動できるところだ。

 では、脳裏に無詠唱のイメージを抱かせる前に、連撃を仕掛ければ、いかなマナナンとて後手に回らざるを得ないだろう。

 黒狼が、その牙でマナナンに連撃の嵐を仕掛ける。

 顔面に突き、と同時にマナナンが回避、そこへ回転斬りを放つ。かわしきれずに、マナナンの魔道師のローブが破れてしまう。

 そこへ追撃のひじ打ち。

 とっさに老魔道師はバリアを張るが、とんぼを切ったクー・フーリンが空中から、槍撃を繰り出す。


槍天攻狼そうてんこうろ!」


 狙いすました黒狼の連続突きが、マナナンへ致命傷の一撃を与える。

 魔道師のバリアも、クー・フーリンの猛攻の突きには耐えきれず、雲散霧消してしまう。


「素晴らしい。さすが、妖精王の本気っ!」


 イルサンが呆れた顔をし、


「何、言ってんでやすかい。旦那は誓い《ゲッシュ》で、実戦以外は攻撃力が著しく劣る呪いが掛けられてるでやんす。つまり、模擬戦は劣化版の槍技にやられたってことでやんす」


 神への誓い・ゲッシュは、約束ごとを守るかわりに多大な加護を得られるのだが、呪いという側面もあるのだった。


「今の槍技が劣化版だと……完敗だ。クー・フーリン殿、いかなる助力も惜しまぬことを約束しよう!」


 こうして、妖精王は魔道王の助力を得られることに、なったのである。







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