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ゲイ・ボルグ 4
エウィン・アヴラハとは、海神の宮殿にして国である。巨石群を組み合わせた建造物は、超古代文明よろしく、神秘に包まれていた。
噂には、マナナンに八人の妻と九人の子がいるらしい。
魔法の帆船は空気の層をまとったまま、海底宮殿へと乗り入れた。
来客が珍しいのか、アヴラハの住人らはエルフの王をジロジロと見回している。
漆黒の長髪に、エメラルドグリーンの瞳。要所を覆い隠す皮鎧に蒼いマント。背には愛槍ゲイ・ジャルクを負った妖精王クー・フーリンは光り輝いて見えた。
一部の人魚や女官などは、彼に見惚れて両頬を赤く染めていた。また、少数の男どもにも人気である。
しばらく回廊を歩くと、大きな扉の前に出た。
竜人の衛士二人が扉を開け、玉座に座るマナナン・マクリールと目線が合う。
「我が国、エウィン・アヴラハへようこそ。妖精王クー・フーリン殿!」




