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ゲイ・ボルグ 3
「ほほっ、わしに何か用かの?」
海岸に突如として、竜巻が発生し、その中央に魔道師の杖を持って、立っていたのは全属性魔法の使い手にして、海神マナナン・マクリールだった。
痩せぎすの長身に、蒼い長髪と首元を覆い隠す髭にアメジストの瞳の老人の姿が彼である。
「魔道王にして海神マナナン・マクリール様――どうか、海竜リヴァイアサンを倒す助力をお願いしたく……」
クー・フーリンが片膝をつき、猫の王イルサンがそれにならう。
「まずは、我が国、エウィン・アヴラハへ来るがよろしかろう。この姿も、実体ではないゆえにな」
幻体のマナナン・マクリールが指をパチリと鳴らすと、一艘の巨大な帆船が海上に出現した。どうやら、この船でマナナンの領海へと、やって来いという話らしい。




