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幕間――黒猫とザントマン 2

 

「ワシのようなショボい攻撃手段しか持たない妖精では、騎士団に貢献できぬと悟ったのですじゃ」


 と、サミア爺。

 ザントマンは身長50センチ程度の小型の妖精だった。背には眠り砂の入った布袋を負っている。服装は地味なピエロといった感じだ。


「見解の相違だな。サミア爺の目くらましは確かに地味だが、敵を数秒眠りに落とさせるだけでも、凄いアドバンテージになるのだぞ」


 優しく諭すように黒猫。


「ですが、ワシは燃え尽きてしまったんですじゃ。限界を感じたゆえの辞職――どうか、お聞き届け下され」


「サミア爺――共にゴブリン千体討伐した時のことを覚えているか?」


 妖精界では稀に、ゴブリンのスタンピードが起きる。

 大抵は黒猫無双で終わる。

 妖精騎士団もゴブリン掃討に借り出されるが、ザントマンの眠り砂は効果的で、黒猫王子は支援スキルを見直したほどだ。


「あれはルーさまの攻撃力あってこその作戦。ワシ一人ならば、即詰みでしょうな」


「だから、仲間を頼れ! お前一人で無理なら、誰かを使え。それがチームだ!」


「ですが……」


「それに、お前は自身の能力を高める努力をしたのか? 麻痺や毒などの状態異常系の粉末を使用するなどして、試したのか?」


「いいえ……」


「そういう努力すらしていないのに、自身の限界を決めてしまうのか? やりきったのか? いいか、お前の才能が発揮できていないのは、俺やレイナルにも責任があることなのだぞ! 適材適所だ。お前は自身のフィールドで自分を活かす道を模索しろ。いいか、無能な者などいない。お前を活かせない俺自身も、常に騎士団の在り方を模索している。万策尽きた時は、俺もサミア爺の辞職を考えよう。それまでは、共に妖精騎士団で、がんばろうじゃないか!」


 黒猫がザントマンのことを、こんなにも気にかけているとはサミア爺も知らなかった。

 いつのまにか、サミア爺の顔は涙で、くしゃくしゃになっていた。

 レイナルもつられて、涙を一粒流している。


「この老体に、そこまで言って下さるか――」


「当たり前だ。お前もレイナルも、俺にとっては、かわいい部下だ。俺はいつでも、お前らのことを信用している」


 ほどなくして、三人がいた食堂から、黒猫が出て行った。

 サミア爺がつぶやく。


「さすがは、次代の妖精王となられる方――器が違う。このサミア爺――ルーさまのためならば、命すら賭けまするぞ」


「まぁ、団長が王様になったら、良い国になりそうっすね」


 サミア爺とレイナルは、黒猫王子への忠誠を、自分なりにそれぞれ誓ったのだった。














すいません。新作は、も少し煮詰めるので遅れます。

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