ソロモン王
我が名は、ソロモン。
それは、ヘブライ語で平和を意味する。
我は、紀元前971年頃にイスラエルという国の王であった。
その頃の我は多忙で、国王業と悪魔狩りを並行していた。当時は、人間界に侵略に来る悪魔どもが後を絶たなかったがゆえに、我自らが魔剣レリルで対処する有り様。これを見かねた神・ヤハウェが自身の骨からソロモンの指輪を創り出し、我に貸し与えたのである。
見かけは鉄と真鍮の合成指輪だが、中身は聖遺物以上の素材、神の骨が使われており、効果は悪魔の真の名を読み取り、封印できるという、とてつもない代物だった。
が、指輪は神と連動しており、多数の天使らを創造し過ぎたヤハウェは力を失い、封印は効力を失くした。
保険として、悪魔の真の名を記したアッピンの本を残していたが、恨みを買った72柱の魔神に追われる内に、赤の書を紛失してしまった。
その後、高位魔神に対抗するために我は、ドラゴンの血を飲んだ。かの血は人間や悪魔にとっても劇薬だが、稀に適合する者がいる。
適合者には絶大な魔力と不老長寿、そして時間や空間を超える能力を与えるとされていた。
時空を駆ける魔女レサルカは、その成功例である。
我は、ひょんなことで彼女と知り合い、時空を超える術を習ったのだが、保有魔力の暴走で、平行世界へと飛ばされたのだった。
今は、時空に干渉し、時空震を起こす邪神を狩りながら、元の世界へ戻る術を探している。
魔女の予言では、帰還の後、黒猫の妖精王子と、邪神を倒すために共闘するそうだ。
わけが分からない。
ともあれ、外宇宙からの侵略者である邪神ガタノソア率いる軍団に対抗できるのならば、猫の手も借りたいくらいだ!
猫の手――厳密には、肉球なのだろうが、我にはぷにぷにして癒やされる以外に使用法が分からぬ。
猫の手は、奥の手になり得るのか?
ちなみに、我は猫舌である。




