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アスタロトの探究 5
「もう、ママばかりズルい!」
ふいに、アスタロトの左腕から赤髪の少女が現れた。
クリムゾンと彼女の娘である、エキドナだ。
背中には竜の翼がある。
「そうか、エキドナ。お前も遊びたいか」
アスタロトが指をパチリと鳴らすと、ベヒーモスの遺骸が消え失せる。
次いで、パチリと指先に彫った魔法陣で、数千のスズメバチに似た魔物を召喚した。
(対ベールゼブブ戦を想定した殺人バチだが、エキドナならやれるか)
ベールゼブブが操るのは、殺人バエだが、この殺人バチの猛毒も、かなり厄介だった。
数千のハチに隠れて、三メートルほどの女王バチがギチギチとアゴを噛み合わせ、戦闘モードに入る。
「虫さんはキライだけど、こうも敵意を剥き出しにされると無視できないね」
エキドナが喋っている間に、しびれを切らした一匹のハチが彼女の手の甲を刺した。
「あ痛っ!」
一瞬、涙目になるエキドナ。
「上等じゃない。欠片さえ残さないほど切り刻んであげる。ワイバーン・スパーダ!」
エキドナの翼がワイバーンのものとなり、骨から形成された刃が出現した!




